INTERVIEW
愛媛FCレディース
松本 苑佳選手
現在在籍中
とにかくサッカーがうまくなりたかった学生時代
愛媛FCL背番号8番の松本 苑佳(まつもと そのか)、ポジションはミッドフィルダーです。愛媛県松山市に移住して4年目。松山は人も温かく住みやすい町だと感じています。
サッカーを始めたきっかけは、地元のクラブチームに通っていた兄の影響でした。物心ついた頃にはグラウンドの隅でボールを蹴っていて、中学校に上がるとき、「更に上を目指したい!」と思い、大分の強豪クラブチームの選考を受けました。熊本の実家から大分までは車で片道2時間半以上かかり、練習から帰宅すると深夜0時を超えていました。支えてくれた両親には感謝してもしきれません。
高校は、練習も寮生活も厳しい鳳凰高校に敢えて通いました。九州では力を発揮できても、全国では通用しないと思っていたので、サッカーが嫌いになりそうなくらい猛練習して……。とにかくうまくなりたい一心でした。
尊敬する先輩が在籍していたこともあり、大学は新潟医療福祉大学へ進学することに。大学4年間は決して順風満帆ではなかったのですが、多くの経験をしました。大怪我の影響から、卒業後の進路は迷いましたが、高校の頃から頻繁に練習試合をしていた愛媛FCLの「つなぐサッカー」に魅力を感じていました。練習参加を通して、このチームでサッカーをしたいと一層思うようになり、愛媛FCLでプレーしようと決めたんです。
(写真提供:株式会社愛媛FC)
2021年は5位という結果に。でも満足はしていない
1部リーグに昇格した初年度は、最下位という結果に終わり、1部のレベルの高さを痛感しました。1部には日本代表レベルの選手がゴロゴロといて、技術やパスワーク、組織的な強さも2部とは比較になりません。一方で、ボールをキープできる時間もあり、つなぐサッカーが通用するという自信も持てました。パスを回して敵陣を揺さぶる、愛媛FCLらしいサッカーで結果を残したいと決意したシーズンでした。
2021年は10位から5位へと順位を上げましたが、満足はしていません。1部リーグからWEリーグに昇格するチームが多いなか、昨年1部だった3チームでみると愛媛FCLは最下位。特に前期は、相手のミスによる勝利など、勝っても満足できない試合が多々ありました。
今後は、個人個人の技術力アップと、お互いのプレーの特徴を知りながらコミュニケーション力を強化しなければなりません。勝ちにこだわって、チームのために走り、決死の覚悟で守る。泥臭いプレーもどんどんチャレンジしていきたいです。
(写真提供:株式会社愛媛FC)
愛媛のFCLの伝統的なサッカーを守りながら、優勝を目指す
今年からキャプテンになりましたが、やるべきことは変わりません。チームのためにできることを全力でやるだけです。
今年はベテラン勢が抜けて、厳しく指摘する選手が減ってしまいました。同時に、メンバーが総入れ替えになり新加入選手が増えた分、「愛媛FCLが大切にしているサッカーの概念」をチームでどう共有するかが重要な課題でした。
愛媛FCLが大事にしていることはサッカーの技術だけではありません。最初は地域リーグからスタートし、決して恵まれた環境とは言えませんでしたが、今では多くのスポンサーの皆様に応援していただいています。でもこの環境は当たり前じゃありません。サッカーだけでなく、普段の生活や仕事も一生懸命なメンバーだからこそ、応援してくださる方がいるんだと思います。
全員でボールを回して相手守備の隙を作り、ゴールへ攻める「つなぐサッカー」が私たちのサッカーのスタイルです。仲間が次にどう動くかを予測して、パスをつなぎます。だからこそ、相手を思いやる気持ちがプレーにつながり、結果として現れると思っています。
シーズン前半は、その考えがメンバーにうまく伝わらず歯痒かったり、「伝えたつもり」でも何も伝わっていなかったりしました。だから、何度もミーティングを重ねてメンバーの意見も聞きながら、認識をすり合わせました。
リーグ終盤はコミュニケーションもとれ、選手の意識やチームの雰囲気も徐々に変化していきました。私も、いろいろな選手から客観的な意見をもらいつつ、頭を整理して冷静な判断ができるようになったと思います。確実にチームの一体感は増しています。
(写真提供:株式会社愛媛FC)
地域や人との繋がりに感謝し、人として成長したい
選手としても人としても、常に成長していきたいです。将来的にはWEリーグというさらに高いレベルに挑戦したい気持ちもありますが、仕事とサッカーを両立するのが今の自分にはあっていると思います。
今は(株)ベネフィット・ワンで16時まで働き、18時からグラウンドで練習をする毎日です。1部昇格前は、フルタイムで勤務し、練習も19時から始まっていました。練習に割ける時間が増えた今、個人やチームのためにできることがまだまだあると思っています。
職場では、「サッカーと仕事大変でしょ、頑張って!」と皆さん温かい声をかけてくださります。この恵まれた環境をありがたく思います。地域や人との繋がりを大切にしている愛媛FCLの一員として、これからもレベルアップを目指したいです。
(写真提供:株式会社愛媛FC)
コロナ禍で響くサポーターの手拍子に支えられた
2021年もコロナの影響により、ホームでの試合は入場者数の制限が設けられ、サポーターの皆さんは大きな声を出して応援できませんでした。その代わりに歓声のない静まり返ったグラウンドに手拍子や太鼓が鳴り響きます。どんなときもサポーターの皆さんの応援が後押しとなり、苦しい試合も乗り越えられました。
今は、11月27日から始まる皇后杯にむけて練習を重ねています。このチームで1試合でも多く勝ち進み、WEリーグの上位チームと闘いたいです。これからも応援をよろしくお願いします!